2017年秋、無事に深圳の大学を卒業し、東京の日本語学校への留学に来る「深圳のたかみな」こと、K嬢。プライベートの旅行で一度東京に来た事が有ると言っていたが、さすがに住むとなると何かと不安が募る様で、渡航日が近づくに連れwechatでの連絡が増える。
スモーキーズと引き合わせる
香港発の早朝便で羽田に着き、無事都内北部に有る学校の寮に到着したと連絡が入る。
であれば歓迎会をしようか、となり、新宿3丁目のMKで会を催す。俺一人ではなんだから、時間が空いていたスモーキーメンバーに声を掛けると数人が合流してくれた。
会が終了し、未だ東京に慣れていないK嬢を自宅まで送って行く。その道すがら東京の印象を聞くと、物価の高さが目に付くと言う。俺の感覚だと深圳の物価もかなり高くなっていて、場所やモノによっては日本の方がコスパが高い様な事も有ったのでかなり意外な印象を受けたのだが、生活必需品などの値段は日本の方が未だ高いのかも知れない。
細々とした日常生活への不安、アルバイトの事、学校の事などなどの話し
聞いているとあっと言う間にK嬢の寮に到着。何か有れば直ぐに連絡をしてくれ、と告げてその日は別れた。
日系某大手企業に就職が決まる
その後、時々食事をする程度の付き合いではあったが、その度に日本語の上達ぶりが感じられた。また、このまま日本での就職を望んでいて、その為に日本語検定1級を目指して勉強しているのだ、と教えてくれた。
K嬢の出身地は深圳ではなくて武漢なのだが、武漢は一般的に「かかあ天下」の土地として知られており、しっかり者の女性が多い印象が有る。
K嬢は正にそんなタイプで、2年の語学学校在籍時にしっかりと勉強をして見事日本語検定1級をパスし、更に英語の勉強も始めたと言う。
そして、2019年の秋、見事に日系の某企業に就職が決まり、コロナ禍で何かと不便な中忙しい毎日を送っている様だ。
中国人で、誤解を恐れずに言えば「夜の蝶」的な仕事をしていた女性が、勉強を通じて日本の企業に(それも結構な大手)東京で就職が出来た、と言うのは狭小な俺の知見の中ではなかなか聞かない話しである。
言わば、「華麗なる転身」とでも言いたいくらいだが、夜の深圳で様々な(ダメな)日本人のオヤジ達を相手にしていたK嬢にすれば、東京で日本人相手に働くのは実は大した事では無いのかも知れない。
そう言えばK嬢は話しの中で将来の夢として語ってくれた事が有り、それは東京での起業だった。
俺から見たらかなり凄い事に思えてしまう今回の就職だけど、K嬢にしてみれば単なる「夢への第一歩」に過ぎないのかも知れない。