コロナ禍の影響ですっかりと外国人を見掛ける確率が減った。少し前までの新宿などは、明らかに外国人の方が多かったくらいだが、今年の2月以降は様子が変わってしまった。
帰りたくても帰れない
しかし、そんな中でも東京に居続ける外国人たちは少なくない。
仕事を持ち滞在する、いわゆる「トーキョーガイジン」もそうだが、東京(日本)の語学学校へ日本語を学ぶ為に来日した外国人たちも多く滞在している。そんな彼ら彼女らは、このコロナ禍の影響で自分の国に帰省したくても帰れない状況が続いている。
国内の日本語学校の推移
公表されているデータによると、令和元年度(2019年度)の日本語教育機関在籍者数は41,600人、10年前の平成21年度(2009年度)は42,651人なので微減、と言った所だが、平成28年度(2016年度)には52,278人とピークとなる数字を示していて、あちこちで多くの外国人を見掛ける様になった時期の肌感覚と符合するものが有る。
国別の外国人語学留学生の割合をざっくりと言うと
中国人40% ベトナム人30% ネパール人7-8% と、これら3か国が大半を占めて、以下、台湾、スリランカ、韓国、ミャンマー、インドネシア、モンゴル、フィリピン勢がシェアを分け合う形となる。
一般的に外国への語学留学と言うと、「ある程度」の語学力を身に付けた上で現地の学校に行く、と言うイメージが有る。(少なくとも、日本から英米の学校へ留学する場合の英語力は一定レベルのものが求められるはずだ。)
中国人語学留学生の場合、以前に紹介したK嬢の様にかなりのレベルで日本語を話せる状態で来日する場合が多い様だ。これは、もちろん漢字文化による親和性もあるだろうし、何よりも圧倒的な数の在日中国人による様々なコネクションがモノを言っているのだろう。
しかし、俺が出会った日本語学校へ通うタイ人留学生の日本語レベルは「ほとんど話せない」か、「あいさつ程度」が話せるレベル、と言う人たちが多い。
俺が知り合ったB君は、正にそんなヤツだった。]
母親が日本に在住
B君は20代後半、バンコク出身だ。彼の母親は、B君の実の父親と離婚したのち再婚した日本人男性と共に中部地方に住んでいる。その義父とB君の仲が良くて、会社を経営している義父が跡取りとしてB君を考えている関係で、日本語を学ぶ為に来日した。
データによると、タイからの語学留学生の数は全体の1%程度と完全にマイノリティになる。これは、タイ人がわざわざ日本に来て日本語を学んでもメリットが少ないからだ。例えば、東京にタイ系企業の日本オフィスがどのくらい有るかどうかを考えてみれば簡単にそれが理解出来るし、そもそも論として留学してまで外国語を学ぶので有ればやはり英語となるのは自然な事だろう。
B君には、わざわざ日本に来て日本語を学ぶ「理由」があったと言う訳だ。
バンコクに妻子を残しての来日
都内23区のとある某日本語学校に入学したB君。性格的には物凄く良いヤツで、知り合って直ぐに意気投合した。(ただ酒癖が余り良くない…)
このB君、実はバンコクに妻子が居る。タイでは技術者として働いて、まだ幼い子供と奥さんを養っていた様だ。(ただ話している限りでは、さほど専門性を感じさせる事は無かった。)
我々日本人の感覚で言うと、母国に妻子を残して語学留学に来たとなると「悲壮感漂う」感じを期待してしまうが、そこはさすがにタイ人のB君。悲壮感のヒの字も感じさせない。毎日の様に酒を飲みに行こうと誘いを掛けてくる、そんな気の良いヤツだ。
そんなB君を通じて、多くのタイ人語学留学生たちと知り合う機会が有った。そんな彼らの話しをして行きたいと思う。