withコロナ時代の王者は「逃げない、負けない、諦めない。そして裏切らない!」。飯伏、悲願のIWGPヘビー級王座戴冠!

NJPW

1月2日に一都三県の知事が国に対して出した緊急事態宣言要請を受け、政府が下した7日同宣言発令の決断。屋内会場での大規模開催への懸念からにわかに危ぶまれた新年恒例の新日本プロレス東京ドーム大会2連戦だったが無事両日共開催され、僕も例年通り現地観戦が出来た。

注目の両日メインは飯伏の王座戴冠&奪還と初防衛に!

東スポによると、当初2連戦両日共2万人上限での集客を目指していた今回のWrestle Kingdom15。しかし、年末にコロナウィルス感染者が増えた事により政府が再び屋内興業の入場者数上限を5千人へ戻す事を表明した影響で、「もう一押し」のタイミングだった12月29日でのチケット前売り販売を中止、更には当日券発売を中止とした新日本プロレス。

しかし、先に挙げた年初の動きにより開催自体が危ぶまれたり、更に言うと選手、関係者から感染者が出ると大会中止に追い込まれる可能性が有った今回の東京ドーム2連戦。そんなリスクを背負いながら、更には想定外の前売り販売中止と言う事態に見舞われながらも無事開催に漕ぎ着け、初日4日は12,689人、二日目5日は7,801人を動員、昨年比の3割程度の動員となったものの状況を考えると大健闘と言って良いだろう。

辛口のファンからは今回のドーム大会への期待感が無いなどとの評価が出ていた様だが、明日の状況も分からない中で1年を走り抜け、カード決定までのタイムラインも例年通りではない、またいつ状況が悪化するかも知れない中、1年の締めくくりとスタートになる東京ドーム大会を開催に漕ぎ着けた新日本プロレス関係者の皆様へ心からの敬意を表したい。

両日共ダークマッチの後、本戦が6試合とドーム大会にしては少な目の試合数。選手自体も両日出場出来るメンバーが限られていた中、両日のメインで連勝とした飯伏が見事IWGPヘビー&インターコンチネンタル両王座を戴冠、防衛した。

「永遠の未来のエース」と言った風貌を持つ飯伏だが、既に年齢は38歳。4日に闘った内藤やNEVER王者鷹木とは同級生であり、その全盛期は案外もう短いのかも知れない。オリンピック代表級の身体能力を持つがゆえに、途中虎の仮面を被ったりの「寄り道」をしつつも、2013年にDDTとのダブル所属として以来、途中約3年の所属外期間を含め、今回7年越しのIWGPヘビー級王座戴冠&インターコンチネンタル王座奪還となった。

翌5日には、48分超えのロングマッチの末にジェイ・ホワイトを破り両王座初防衛にも成功。

満を持すぎるくらいに持して、この先が見えないコロナ時代の勝負手に飯伏を選択した新日本。昨秋のG1 CLIMAX2連覇劇を経ての無敵感(飯伏流で言えば「神」)をも作り上げながらの王座戴冠&防衛劇だった。

以前であれば、最も似合わない「背負い込む姿勢」

G1 CLIMAXを初制覇した2019年。ウイル・オスプレイを撃破して初日を出した飯伏が発した言葉が「負けない、逃げない、諦めない。そして裏切らない」だった。

そして迎えた昨年2020年秋のG1 CLIMAX、初戦でオカダを下した飯伏が発した言葉を進化させて「逃げない、負けない、諦めない、裏切らない。そして本当の神になる!」とし、その勢いのままG1を2連覇。IWGPヘビー級王座への挑戦権を得た。(その後、挑戦権利証争奪試合でジェイ・ホワイトに敗れ挑戦権を一旦失う)

飯伏と言えば、DDTに入団した当時、社長の高木三四郎がその性格(と才能)を慮り、飯伏に対しては特に何も言わず自由にさせていた事は良く知られている。

また、その才能を愛したエース・棚橋は新日本入団後の飯伏に対して、その自由奔放な姿勢に業界の盟主たる新日本での在るべき姿を示唆していたものだ。

それだけに、自ら「逃げない、負けない、諦めない。そして裏切らない!」と宣言し、まるで残る自身のプロレスラー人生を新日本プロレス(=プロレス業界)に捧げんばかりとしたこの発言には驚かされた。そしてそれを2年に渡り実践して来たからこそ、新日本プロレスも飯伏にこの困難な時代を委ねる「覚悟」をしたのだろう。

時代に逆行する「逃げない、負けない、諦めない。そして裏切らない!」と言う姿勢

今の世の中の空気は、「逃げても良い、負けても良い、ツラければ諦めても良い」と言った、自分を追い込まない(が、他者はアラを探してでも追い込む)事が良しとされている感が強い。その最たるものはコロナ禍に対する「一部」政治家の姿勢であったり、無節操な「一部」マスメディアのそれであろう。

そんな世の中の風潮の中、正にプロレス業界全てを自身の背中に背負いこむ覚悟を言動一致で見せた飯伏とそれに託した新日本プロレス。

約11か月ぶりにレインメーカーを繰り出し、IWGPタイトル戦線復帰を虎視眈々と狙うオカダを始め、新春シリーズでの挑戦が決まったSANADA、前二冠王者の内藤、キャリア7年弱で未だ28歳とは思えないサイコロジーで試合を構築する5日の防衛戦の相手ジェイ・ホワイトなどなど、その防衛ロードの相手には事欠かない2021年の飯伏幸太。コロナ禍における「ニューノーマル」の具体的な姿が描き切れない我々に、「逃げない、負けない、諦めない。そして裏切らない!」姿で、見えないゴールへの灯りを照らし続けて欲しいものだ。

投稿者: スタジオスモーキー カルロス

2013年12月から開始したポッドキャスト番組「スタジオスモーキー」のブログです。 音声では伝えきれないコンテンツを公開して行きます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です