タイ人留学生のお話し3ー劣悪な住環境への引っ越し

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B君やO君が住んでいたのは、23区内某駅至近の築30年超えの木造2階建てを改築したシェアハウスで、水道光熱費にwifiが付いて家賃4.5万円の部屋。オーナーは中国人だ。苦学生のO君は、複数のバイトを掛け持ちし当座の金を稼ぎながら、学校の勉強と両立させどうにか毎日を過ごしていた。

民泊ブーム

この時、2019年当時は翌年の東京オリンピックを控え急増する事が確実視されていた外国人観光客、とりわけアジア各国から来る訪日客目当ての宿泊施設を確保する為に、ホテルの建設増は元より民泊開業ラッシュと言う状況だった。その影響が、O君たちを襲ってしまう。

良くも悪くも機を見るに敏な大家さんだったのだろう、この需要を見越して彼らが住むシェアハウスを更に改造し民泊施設に転用する事を決め、入居しているO君たち外国人留学生達に退去を迫ったのだった。

困るのはシェアハウスに住む彼らだ。この時点で日本に来てまだ1年足らず、土地勘に乏しく、学校の所在地を基本にして住まいを探さなくてはならない制約が有る。しかも今回は急な話しでもあり、学校側からの斡旋もあまり期待が出来ないと言う。

残酷な経済格差

日本人男性と再婚し日本に住む母親を持つB君はお金の面では比較的恵まれている。彼は直ぐに母親に相談し、引っ越し費用を工面して貰って、むしろそれまでよりも良好な住環境の、新築で駅からの距離も学校までの距離も近い、ワンルームのアパートに移り住む事になった。

対してO君。

予算条件が厳しい彼の選択肢は狭い。ほうぼう手を尽くし、外国人向けの格安物件に強い不動産屋なども当たった結果ようやく見つけた部屋。それは、以前よりもかなり劣悪な住環境だった。O君が見つけた部屋は、学校からは行き来しやすい場所ではあるものの、築年数は優に50年前後と想像出来る古ぼけたRC造りの部屋。しかも、その場所は「半地下」だ。ヒットした韓国映画「パラサイト半地下の家」を彷彿させる、と言うと分かりやすいかも知れない。

劣悪な住環境

引っ越しの日、O君の僅かばかりの家財道具を俺の車に詰め込み、到着した彼の新居を見た時の第一印象は「さすがにこれは…」と思ったのが本音だ。半地下の部屋へ下りる階段を行くと鼻に突いたのは香辛料の強い香り。このフロアに住んでいる人たちが好む食事に使われている様だが、同行していたO君のタイ人の友人たちは一様に顔をしかめたものだ。

タイ人は格差の大きい社会に生まれ育っている影響か、意外かも知れないが、周辺の国々をやや見下すところが有る。また日本に語学留学に来る事が出来る彼らは、タイ人社会の中では比較的恵まれている階層とも言え、そんな事情からか、O君の新居を見た瞬間の彼らの表情に素直な感情が出た様だ。

そのO君の新居だが、俺が見ても正直「もう少し何とかならなかったのか」と思わざるを得ない部屋だった。

扉画像に有る様に、天井には大きなシミが浮き出ていて上階からの水漏れを想起させるし、そのせいか、部屋の中がかなりカビ臭い。

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また上記の画像の通り、半地下なので日光が当たらず換気も全く期待出来ない。運んだ荷物を移す間の小一時間程度の滞在だったが、そんな短い時間でも息苦しさを感じたものだ。

しかし、経済的理由から選択肢に乏しいO君はこの環境を受け入れ、兎にも角にも日本語を習得し学校を無事卒業する事を最優先に考えて前に進む事を決めたのだ。

片やコロナウイルスの影響で東京オリンピックが一年延期となり、民泊のみならず全ての宿泊施設が苦境に陥っている中で、O君たちが元々住んでいたシェアハウスの大家さんも転用した民泊業態での経営状態は良く無い事が容易に想像出来る。

全く皮肉なものである。

お気楽なB君が抱えた「トラブル」

そんな苦学生O君を横目で見ながら、B君のお気楽ぶりは益々加速して行く。

アルコールと女性が何よりも好きなB君、バンコクに妻子を残しながらの日本への語学留学だが、一向に上達しない日本語能力と反比例するかの様に「夜活」には日に日に磨きを掛けていた。

そんなB君が抱えた「トラブル」を次回はお伝えしたい。

投稿者: スタジオスモーキー カルロス

2013年12月から開始したポッドキャスト番組「スタジオスモーキー」のブログです。 音声では伝えきれないコンテンツを公開して行きます。

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